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女性ドライバー(トラガール)が業界の未来を救う?仕事内容、給与を分かりやすく解説

kglo-kawai

運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

若者の車離れや少子高齢化の影響から、深刻な人手不足が続いているトラック運送業界。こうした状況のなか、いま注目を集めているのが女性ドライバー(通称:トラガール)の存在です。

人手不足の解消はもちろんのこと、これまで男性の仕事と思われがちだった運送業界のイメージ改革にもつながるのではないかと大きな期待を集めています。

この記事ではそんな注目のトラガールについて、仕事内容や給与など様々な情報を詳しく解説していきます。

 

女性ドライバー(トラガール)がブームになりつつある主な理由2つ

 

以前に比べて、女性ドライバー(トラガール)の数は徐々に増えつつあります。その理由については主に以下の2つが挙げられます。

 

理由①|インターネット通販の激増

 

近年、インターネット通販の急激な普及に伴い、運送業界の人手不足に一層拍車がかかっている状況です。
そんななか、白羽の矢が立ったのが女性ドライバー(トラガール)。

 

働き方改革が掲げる多様な人材の確保に向けた取り組みは運送業界においても行われており、様々な対策が講じられるようになりました。

 

そうしたこともあり、女性ドライバー(トラガール)の需要は以前よりも大きく増加しているのです。

 

理由②|国交省による「トラガール促進プロジェクト」の始動

 

国交省では2014年をトラックドライバーの「人材確保・育成元年」と位置づけ、女性ドライバーの活躍を促進していく活動を開始。

 

同年9月には「トラガール促進プロジェクトサイト」が立ち上げられ、全国の現役女性ドライバーの活躍を伝えるなど、業界のイメージ改善に向けた積極的な情報発信が行われています。

 

また、サイト内には就職イベント情報や女性雇用に係る助成制度など雇用機会の確保に向けた情報も多数掲載。こうした動きを受け、女性が働きやすい環境づくりを積極的に行う企業も増えており、業界全体で女性ドライバーの採用を歓迎している状況となっています。

 

女性ドライバー(トラガール)は全国でどれくらいいるのか

 

現在、全国に約2万人の女性ドライバーがいると言われていますが、運送業界の女性進出はまだまだ遅れている状況です。
なぜなら、トラックドライバー全体の割合から見た女性比率はわずか2.4%にとどまっており、これは全産業の女性割合44.2%と比較すると圧倒的に少ないからです。

 

ただし、トラガール促進プロジェクト等の活動で徐々に増加傾向にあることや、大型免許の保有者が全国に13万人以上おり、ドライバーを職業の選択肢として考えている女性が潜在的にいることなどから、今後は一定程度のドライバーを確保できるのではないかとの期待も高まっています。

 

女性ドライバー(トラガール)の仕事内容・給与と年収・待遇は?

 

ここからは具体的な仕事内容や給与、待遇について解説していきます。詳細についてはそれぞれ以下のとおりです。

 

女性ドライバー(トラガール)の仕事内容

 

仕事内容に関しては男女ともに大きな違いはありませんが、

 

  • 女性ならではの細かな気配りとコミュニケーション能力を活かしやすい
  • 荷物が軽くて負担が少ない
  • 家庭との両立がしやすい

 

との理由から、一般家庭を回る宅配ドライバーや近距離のルート配送などの職種が選ばれやすい傾向にあります。
ただし、近年は女性の雇用に理解のある企業も増えてきたため、男性の割合が多い大型トラックやトレーラー運転手としても女性が活躍できる環境が整いつつあります。

 

女性ドライバー(トラガール)の給与と年収

 

全日本トラック協会が発表した「2018年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」によると女性ドライバー(トラガール)の給与と年収は以下のとおりです。

 

賃金+賞与(1ヵ月平均) 賃金+賞与(年収)
女性運転者平均 315,700 3,788,400
けん引運転者 366,300 4,395,600
大型運転者 345,300 4,143,600
中型運転者 301,000 3,612,000
準中型運転者 292,800 3,513,600
普通運転者 286,400 3,436,800

 

女性ドライバー(トラガール)の待遇

 

先ほどお伝えしたとおり、女性ドライバー(トラガール)の平均年収は約378万円です。
男性ドライバーの平均年収が約450万円なので、比較すると約70万円の差があり、待遇にかなりの差があるように思います。

 

ただし、これは女性の勤続年数7.08年に対して男性が12.09年となっているため、その差が大きく影響しているとも言えるでしょう。

 

給与以外の待遇に関しては、育児休業や短時間勤務などの福利厚生がありますが、こうした制度を設けている企業は全体の約25%に留まっており、まだまだ対策が必要な状況となっています。

 

女性ドライバー(トラガール)を活用することで運送業界が大きく変わる可能性あり

 

一般的に女性ドライバー(トラガール)は、男性ドライバーに比べて

 

  • 荷物の扱いが丁寧
  • 柔軟な対応ができる
  • きめ細かなサービスが得意

 

などの点で優れています(すべての女性がそうというわけではありません)。

ネット通販が普及し一般家庭への宅配業務が増えている現在では、ただ単に荷物を届けるだけでなく、質の高い接客スキルも求められているため、運送業界のイメージアップにも女性の活躍が大いに役立つでしょう。

 

女性ドライバー(トラガール)の存在によって生まれたサービスや商品

 

女性ドライバー(トラガール)の存在は、新たなサービスや商品開発にも貢献しています。そのひとつに、タクシー業界の「子供たちの習い事送迎サービス」があります。このサービスは女性ドライバーの増加にともなって利用者から受け入れられるようになりました。

 

男性ドライバーに比べ安心感がありイメージも良いため、今後もこうした女性の特性を活かしたサービスがどんどん増えていくものと思われます。

女性ならではの商品を安心して通販で頼める?

 

ネット通販でランジェリーなど女性ならではの商品を購入した際、お客様のなかには女性ドライバーに届けてもらいたいという人も多くいます。

 

女性ドライバー(トラガール)の存在が企業の職場環境改善につながる

 

そのため、企業全体の職場環境の改善につながり、女性の働きやすい環境はもちろんのこと、既存の社員の労働環境や待遇の改善にもつながるなど多くのメリットが期待できます。

 

まとめ

 

人手不足と業界のイメージ改善に向けて、運送業界全体で女性を受け入れるための環境が整えられつつあります。

 

男性の仕事というイメージが強かったトラックドライバーも現在では接客などきめ細かなサービスが求められるようになり、女性ドライバーの需要は高まっています。将来的に女性が活躍できる業界となっていくことでしょう。

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運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

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