Gマーク申請後の巡回指導は、トラック運送業の方にとって厄介なものといえるでしょう。万が一評価が低ければ、Gマークが取得できないだけでなく運輸局の監査の対象となる可能性もあるからです。
巡回指導の対策で高評価を得るには日々の帳票類作成と保存、輸送の安全に対する取組が必要なため、通知が来てから取り組むのでは間に合いません。
この記事ではGマーク申請後に実施される巡回指導の対策を詳しくご紹介します。大まかな流れやチェック事項なども解説しますので、ぜひ参考にしてください。
Gマークの巡回指導とは何か?
Gマークの巡回指導とは、適正な法令順守が行われているかどうかを「適正化事業委員会」という機関が確認するもので、事故防止・運輸の適正化を目的としています。
Gマーク申請をする年の前年7月1日から翌年6月末日までに巡回指導が行われていないトラック運送事業者に対して、Gマーク申請をした日以後に適正化事業委員会が実施します。
巡回指導にかかる時間はおよそ1時間~3時間程度です。
巡回指導と運輸局監査の違い
巡回指導も運輸局監査もトラック運送事業者が輸送の安全を徹底しているかのチェックを行うということは共通です。しかし、両者には大きな違いがあります。どのような点が異なるのか、それぞれの違いを見ていきましょう。
巡回指導
巡回指導は、トラック協会直属の適正化実施機関が行います。巡回指導実施日の約1か月前に書類による事前告知があり、37の項目についてのチェックが行われます。
適正化事業実施機関が直接、行政処分を行うことはありませんが、重大な違反がある場合には運輸局に報告が行き、監査が実施されます。
巡回指導だから適当にやり過ごせば大丈夫と考えているトラック運送事業者もいますが、監査に直結する場合もあるため甘く見ないことをおすすめします。
運輸局監査
運輸局の監査は、国土交通省(実際には営業所を管轄する地方運輸支局)が行うもので、基本的に事前告知はなく行政処分を含みます。主に重大事故や悪質な法令違反があったときに実施されます。
チェック項目が基準に達していない場合は、行政処分が下ることとなり、車両使用停止や一定期間の事業停止、許可取り消しなどの重い処分が課せられます。
Gマーク申請における巡回指導のおおまかな流れ
巡回指導のおおまかな流れは以下のとおりです。
- 巡回指導を行う旨の電話連絡が入る。
- 用意する帳票類を記載したFAXが届く。
- 当日のチェックで違反があれば指導が行われる。
主に運行管理に関するチェックが行われ、かなり細かい点までチェックを受けることになります。
巡回指導で主にチェックされる事項
巡回指導でチェックされる項目は37項目あり、特に注意しなければいけない5つの項目について以下で詳しく解説します。
経営計画等に変更はないか
営業所を管轄する地方運輸支局に届け出ている経営計画に変更点がないかをチェックします。経営計画の変更とは以下のことを言います。
- 事業所の所在地や名称
- トラックの種別・所有台数
- 車庫の位置・収容台数
- 乗務員の休憩や睡眠施設の適正度
など。現状と届け出の差異がないことがポイントとなります。
例えば、以下のような場合は指導を受けることになります。
- 運送業許可申請時には、アパートの一室を営業所として登録したが、実際には車庫内にプレハブを置いて運営している。
- 運輸局に登録していない車庫に緑ナンバーの車両を駐車している。
運行管理=日報・点呼簿などの帳票類の管理と保存はできているか
運行管理に直結する帳票類の記録・保存について、詳しくチェックされます。メインとなる帳票類は以下のとおりです。
- 日報
- 点呼記録簿
- 日常点検表
- タコメーター
- 運転者台帳
- 車両台帳
- 適性診断の実施結果
- 健康診断の実施結果
車両管理ができているか
車両の管理に関する記録や保管、実施状況などを確認するめ、主に以下の帳票等がチェックされます。
- 整備管理者の選定と届け出及び研修の受講
- 日常点検基準の作成と記録
- 点検整備記録簿の保管
運転者が社会保険・労働保険に加入しているか
労働基準法や法定福利厚生制度について以下の項目のチェックが行われます。
- 健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険の加入有無
- 就業規則の作成及び労働基準監督署への届け出の有無
- 36協定の締結と労働基準監督署への届け出の有無
- 健康診断の実施と記録の保管
- 労働時間・休日出勤に関する違法性の有無
※就業規則は個人事業主の場合、従業員が10人以上の場合のみ届出が必要となります。
巡回指導のときに準備しておく書類
巡回指導のときに準備をしなければいけない書類は、大きく分けると3つのカテゴリーに分類されます。実施通知が来たらすぐに準備できるように日常的にしっかり保管しておきましょう。
先の項目でご紹介した書類とは別に必要となる書類を、以下でご紹介します。
- 許認可申請書・認可書関係:経営許可申請書・事業計画変更認可申請書・変更届など
- 帳票関係・:運行指示書(2泊3日運行以上)・適性診断受診結果表(同計画表)・賃金(給与)台帳など
- 経理関係:総勘定元帳・経費明細簿・現金出納帳など
まとめ
Gなーく申請後の巡回指導で万が一評価が低ければ、Gマークが取得できないだけでなく、国土交通省の監査が入り、重大な行政処分が下される可能性もあります。
ドライバーの協力も得ながら、日常的に指導・教育を徹底し、巡回指導時の書類不備を回避できるように心がけましょう。