現在、慢性的な人手不足の解消と運送業界のイメージ改善のため、女性ドライバー(トラガール)の確保に向けた取り組みが、トラック運送会社と国によって推し進められています。
トラック運送会社においては、女性が働きやすい職場環境の整備や労働環境の見直しが徐々に行われており、それに対して国は様々な助成制度を設けるなど、資金面での支援を行っています。
今回の記事では、こうした運送会社と国が一体となり取り組みを行うトラガールの採用・育成に関する助成金について詳しく解説していきます。
助成金とは?補助金との違いは何?
「助成金」と「補助金」について同じように思われるかもしれませんが、それぞれ以下のような違いがあります。
助成金の運営は厚生労働省
助成金は主に雇用の安定のために支給されるもので、
非正規社員を正社員として雇用した時
など、決められた条件を満たすことで受け取ることができるのが特徴です。
補助金の運営は経済産業省や自治体
助成金と同様に、決められた条件を満たすことで受け取ることができますが、補助金の場合、条件にプラスして審査を通過することも必要となります。
決められた条件だけでなく審査に通る必要がある
こうした点が助成金との違いとなっています。
トラガール採用の助成金とは?
トラガール採用の助成金のひとつに、「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」があります。
この制度では、女性活躍推進法に基づき、自社の女性社員の活躍に関する取り組み内容などを盛り込んだ、
①行動計画を策定し、
②その行動計画に盛り込んだ取り組み内容を実施して
③3年以内に数値目標を達成
上記を満たした場合に助成金が支給され仕組みとなっています。
支給対象となる目標の区分には、
女性の積極登用・評価・昇進に関する目標
女性の配置・育成・教育訓練に関する目標
多様なキャリアコースに関する目標
があります。
支給額は47.5万円(生産要件を満たした場合は60万円)で、1事業主1回限り受給することが可能となっています。
国土交通省もトラガール採用・育成を支援
国土交通省は女性ドライバーの確保に向けて2014年にトラガール促進プロジェクトサイトを開設。
同サイトにおいて「リクルート等イベント情報」や「事業者向け情報」などの情報を積極的に配信するなど、トラガールの採用・育成を支援しています。
事業者に求められるトラガールを確保するための3つの工夫
トラガールを確保するためには国による助成制度だけでなく、事業所の取り組みも重要となります。
それぞれ詳細については以下のとおりです。
①女性が働きやすい環境整備、求人票の工夫
女性を採用するにあたり、環境の整備は重要課題のひとつです。たとえば、
積荷の負担を減らすための機械化
女性用の休憩室の確保
など、まずはお金をかけずにできるところから始めてみましょう。
求人票に関しては、未経験者の応募を想定し、業務内容などをできるだけ具体的にイメージできるように記載したり、女性が働いている写真を掲載したりするなどの工夫をすることがおすすめです。
②女性がやりがいを持てる人事・給与制度の充実
ただ単に、女性ドライバーを増やすだけでなく、やりがいを持って長期にわたり活躍してもらうことが何よりも大切です。
そのためにも管理職への登用など、キャリアアップを可能とする人事・給与制度を充実させて、将来への夢や希望を持てる環境を構築していくことも大切な取り組みのひとつと言えます。
③各種制度やシフトの整備・託児所の設置
女性ドライバーを確保していくためには、
再雇用制度
託児所の設置
ライフスタイルに合わせた勤務シフトの整備
など、仕事と家庭の両立に向けた働きやすい労働環境の構築に向けた取り組みが事業所には求められています。
まとめ
女性ドライバー確保のための助成金は「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」のほかにも、
事業所内保育施設設置・運営等支援助成金
キャリア形成促進助成金
キャリアアップ助成金
など様々なものがあり、トラガール促進プロジェクトサイト内でも紹介されています。
負担軽減のためにも各事業所はこうした助成金をうまく活用しながら、女性ドライバーの受け入れ体制を整えていくことをおすすめします。