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トラック運転手に必要な健康診断|頻度と項目を分かりやすく紹介

kglo-kawai

運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

近年、トラック運転手の体調不良が原因で起こる健康起因事故が増加傾向にあり重大事故にもつながっています。こうした事故を防ぎ、安全輸送を確保するためには事業者による運転手の健康管理が重要であり、そのための取り組みのひとつに「健康診断」があります。

そこでこの記事では、トラック運転手に必要な健康診断、健康診断の検査項目、検査結果の見方と対処法についてわかりやすく解説していきます。

 

 

トラック運転手に必要な健康診断とは?

トラック運送事業者は、労働安全衛生法などの法令により以下の3つの健康診断を行うことが義務付けられています。

 

 

雇い入れ時の健康診断(入社時)

新たに労働者を雇い入れた時に必要となります。ただし、過去3ヶ月以内に受診し、結果を提出していれば重複する項目の診断は不要です。

 

 

定期健康診断(年に1回)

雇用後に受ける定期健康診断で、1年以内ごとに1回必要となります。

 

 

特定業務従事者(深夜労働者)の健康診断(半年に1回)

深夜業に従事する者が対象で、トラック運転手の場合、夜間ドライバーや深夜に運転することの多い長距離ドライバーなどが該当します。

深夜業の時間帯は、午後10時から翌朝5時までの業務のことを言い、深夜帯に業務を行うドライバーに該当し、以下のいずれかに当てはまれば半年に1回の健康診断受診が必用となります。

  • 1ヶ月に4回以上深夜帯に運転することがる
  • 6ヶ月で24回以上深夜帯に運転することがある

 

 

トラック運転手の健康診断の検査項目

健康診断の法定検査項目は以下の11項目がありますので覚えておきましょう。

  1.  既往歴および業務歴の調査
  2. 自覚症状および他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査および喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査
  7. 肝機能検査
  8. 血中脂質検査
  9. 血糖検査
  10.  尿検査
  11.  心電図検査

 

 

健康診断で検査結果の見方と対処法

健康診断は受診したら終わりではなく、受診後の診断結果から改善に向けて対策をすることが大切です。それぞれの診断結果に関する見方と対処法について、以下の4項目に分けて解説していきます。

 

 

異常なし

異常なしの場合は、現段階で心配する必要はありません。引き続き健康状態を維持するように努めていきましょう。

 

 

要経過観察・要再検査

検査結果で基準を外れた状態です。すぐに治療をしなければならないものではありませんが、生活習慣の見直しや定期的な検査で経過観測が必要です。再検査の指示があれば必ず受けるようにしましょう。

 

 

要精密検査

健康診断では特定できない病気の有無を確認する必要があるため、必ず受診するようにしましょう。

精密検査で異常がない可能性もありますが、もし、経過観察や治療が必要となった場合は、医師の指示にきちんと従うことようにして下さい。

 

 

要治療

すぐにでも治療が必要という状態です。重大事故を起こすリスクも高まるため、症状が悪化する前にできるだけ早く専門医を受診・治療して進行を止めましょう。

 

 

トラック運転手の健康管理不足は事故に直結する

自己の健康管理を徹底することは、トラック運転手にとって非常に大切なことです。なぜなら、健康面の不調は重大事故へとつながるリスクが高くなるからです。

トラックはサイズも大きく重量もあるため、一瞬の判断ミスが命取りとなります。肉体的、精神的に異常があれば正常な判断ができなくなったり、運転中に脳疾患や心疾患、大動脈瘤などの健康起因事故を起こしたりする危険性があります。

実際に筆者の関与先では、ドライバーが運転中に心疾患により意識を失い事故を起こして運輸局の監査が入った例もあります。

こうした事故の多くは、健康管理をしっかりしていれば防げる事故です。会社とトラック運転手自身が健康管理を行い、健康診断の結果に応じて対策することが何よりも大切だと言えるでしょう。

 

 

まとめ

健康状態が原因でトラック運転手が重大事故を引き起こすようなことがあれば、事故の被害者だけでなく自身の家族も不幸にしてしまいます。また、トラック運送事業者にとっては会社の信頼を失うことにもなりかねません。

そうならないためにも、トラック運転手は常に健康な状態を維持しながら業務に励むことが大切です。また、運送事業者は安全な輸送を確保するため、トラック運転手の健康状態を気遣いながらしっかり管理していくことを心掛けようにしましょう。

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運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

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