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トラック運送業の営業所にプレハブ・トレーラーハウスを利用するポイントを行政書士が説明

kglo-kawai

運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

運送業を始めるにあたっては、トラックやドライバー、駐車場を確保するのはもちろん、事業の拠点となる営業所・事務所を構えなければなりません。
これは、運送業許可取得の要件として定められたものです。

しかし、営業所の立地や建物に関しては、都市計画法や建築基準法、消防法などの各種法令で厳しく規制されています。
そのため、「良い土地があったのに上物の建築が認められない」「見つけた物件が事務所としては使えない」などの理由から、物件探しに苦労する事業者も少なくありません。

そんな時に有効な選択肢となるのが、プレハブやトレーラーハウスです。
これらは一般の建築物と取り扱いが異なるため、特例的に営業所や事務所としての使用を認められるケースがあります。では、一体どうすれば営業所に利用できるのでしょうか?

答えは、この記事を読めばわかります。プレハブやトレーラーハウスについて、営業所に利用する条件以外の気になるポイントも合わせて解説してありますので、ぜひ参考にしてください。

トラック運送業の営業所としてプレハブ・トレーラーハウスを登録できる地域・できない地域

プレハブやトレーラーハウスは、戸建て住宅などの一般建築物と比べると、ごく簡易的な施設です。
だからと言ってどこにでも設置して良い訳ではなく、営業所としての利用が認められるエリアと認められないエリアが存在します。

では、プレハブやトレーラーハウスを営業所として登録できるのは、どのような場所なのでしょうか。

プレハブ・トレーラーハウスを登録できる地域

プレハブを営業所に利用できるのは、都市計画法で「市街化区域」「無指定区域」に指定されたエリアです。
ただし、市街化区域の中でも次の用途地域に該当する場合は、原則として登録が認められません。

・第1種低層住居専用地域
良好な住環境を保護するために、戸建て住宅や住宅兼店舗・事務所などの小規模な建物のみ建築が認められた地域のことです。
このエリアの建物は高さを10mまたは12mまでに抑えるよう定められています。
それ以外にも建ぺい率や容積率などの制限もあり、用途地域の中で最も制限が厳しいエリアです。

・第2種低層住居専用地域
基本的には第1種低層住居専用地域と同様の制限が設けられていますが、それに加えて150m2以下の店舗であれば建築可能です。

・第1種中高層住居専用地域
マンションなどの中高層住宅のために設けられた地域です。
住宅、学校、病院、銀行、図書館などは建てられますが、事務所を置くことはできません。

一方、トレーラーハウスに関しては、多くの自治体や運輸局が、区域区分や用途地域の定めなく利用を認めています。
それは、都市計画法が建物の建築などの都市計画について定めた法律であるのに対し、トレーラーハウスはあくまでも車両のため、都市計画法の規制を受けないからです。

ただし、車両であることを明確に示すために、車両登録を行い、ナンバープレートを取り付ける必要があります。また、車検も受けなければなりません。

プレハブ・トレーラーハウスを登録できない地域

都市計画法における「市街化調整区域」では、使用用途に関係なく、プレハブの設置自体が原則として認められません。仮に、市街化調整区域にプレハブ付きの土地があったとしても、そのプレハブを営業所として利用することはできませんのでご注意ください。

市街化調整区域とは?

市街化調整区域とは「市街化を抑制された地域」のことです。
このエリアには、建物の建築や都市の整備に関してさまざまな制限が設けられています。
もしこの区域内で建築物を建てる場合は、大変な手続きを経て開発許可を得なければなりません。

ポイント|登録できる地域・できない地域の確認は行政書士へ

都市計画法上の区域区分や用途地域は、自治体が作成する「都市計画図」を見れば誰でも確認することができます。
しかし、運送業許可の要件を満たすかどうかを判断するには、それだけの材料では不十分。
にも関わらず、断片的な情報で自己判断し、契約を結んだ後になって登録できないことが判明すれば、お金も時間も手間も無駄となってしまいますよね。

そのような事態を回避するためには、専門家に頼るのが一番。
必要な情報をもれなく集め、的確な判断を下してくれる行政書士の力を借りることをおすすめします。

プレハブ・トレーラーハウスをトラック運送業の営業所とするメリット・デメリット

プレハブやトレーラーハウスを営業所として利用するにあたっては、当然メリットもデメリットも存在します。
もし、営業所としての利用を検討しているのであれば、しっかりと理解しておきましょう。

プレハブ・トレーラーハウスを営業所とするメリット

メリットには次のようなものがあります。

・一般建築物と比べて工期が短い
・駐車場と併設でき、運行管理しやすい
・トレーラーハウスの場合、固定資産税がかからない
・市街化調整区域にも設置でき、土地代を抑えられる

プレハブ・トレーラーハウスを営業所とするデメリット

デメリットとしては、

・賃貸よりも購入費や工事費、建築確認申請などの初期費用がかかる
・レイアウトやデザインが限定される
・車検や輸送費用がかかる

などが挙げられます。

まとめ

プレハブやトレーラーハウスの利用は、なかなか営業所用地が見つからずに苦労している事業者にとっては非常に有効な手段の一つです。特に、市街化調整区域にある駐車場は、他の区域と比べて土地代が安く抑えられていることが多いため、そこを活用することができればコスト面でも大きなメリットとなるでしょう。

しかし、場合によっては賃貸物件を借りるよりも費用がかさむ可能性もあります。
目先の安さだけで安易に飛びついたりせず、メリットデメリットを十分に理解することはもちろん、トータルコストをきちんと比較した上で慎重に判断することが大切です。

なお、もし判断に迷ったり、困ったりした時には運送業許可専門の行政書士法人シフトアップへご相談ください。

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運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

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