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トラック運送会社の運転日報とは?記載事項・保存期間・3つの活用方法を紹介

kglo-kawai

運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

トラックドライバーの業務には、メインとなるトラックの運転や荷物の積み下ろし作業のほかに、「運転日報の記録」という大切な業務が含まれています。

運転日報はドライバーの乗務実態を把握し、運送業界全体の問題となっている長時間労働による過労を防止するなど、安全運行を確保するために欠かすことができない大切な記録です。

この記事ではトラック運送会社における運転日報の役割をはじめ、記載事項や活用方法についてわかりやすく解説していきます。

 

 

運送会社の運転日報の役割とは?

トラック運送会社の運転日報には、日付やドライバーの氏名のほか、

  • いつ業務を行ったのか?
  • どれくらいの距離を走行したのか?
  • どのような貨物を運んだのか?
  • どこまで荷物を届けたのか?

など、ドライバーの日々の業務を細かく記録したもののことです。

運転日報の主な目的としては「各ドライバーの乗務実態の把握」が挙げられます。ドライバーは基本的に社内にいる時間はごくわずかで、労働時間のほとんどは社外で集配業務を行います。

そのため、業務時間内の行動については直接管理することができません。しかし、運送日報があれば自社のドライバーがいつどこでどのような行動をしていたのかを具体的に把握することが可能となります。

乗務実態をしっかり把握することで、違法な長時間労働によるドライバーの過労防止や過積載の防止になります。結果として安全運行の確保につながるなど、運転日報は運送業務において非常に重要な役割を担っているものと言えるでしょう。

 

 

運転会社の運転日報の保存期間はいつまで?

ドライバーの乗務実態を正確に把握するための運転日報は非常に重要な記録であるため、「貨物自動車運送事業輸送安全規則8条」において

一般貨物自動車運送事業者等は、事業用自動車に係る運転者の乗務について、当該乗務を行った運転者ごとに次に掲げる事項を記録させ、かつ、その記録を1年間保存しなければならない。

というように、1年間の保存が義務付けられています。

運転日報は巡回指導や監査においても重点的にチェックされる資料なので、運送事業者は日頃からしっかりと管理をしておきましょう。

 

 

運転日報の8つの記載項目

「貨物自動車運送事業輸送安全規則8条」において保存が義務付けられている運転日報には以下の8つの項目を記録しておかなければいけません。以下で詳しく見ていきましょう。

 

 

①運転者の氏名

運転者の氏名を記載し、どのドライバーの乗務記録であるかを明確にしておく必要があります。

 

 

②自動車登録番号

複数あるトラックのうち、どのトラックを使用して業務を行ったのかを明確にしておく必要があるため、自動車登録番号(ナンバーや事業者が定める車番や車号)を記載しなければいけません。

 

 

③乗務の開始・終了の地点、日時、経路地点、乗務距離

乗務の開始・終了時間と日時に関する項目は、過労防止のための乗務時間の把握にとても重要です。この項目に関しては運転日報もしくはタコグラフのどちらかに記載されていれば良いとされています。

また、発着地が複数ある場合はすべてを記載する必要はなく、日報に収まる範囲で代表的な発着地を記載すれば構いません。

 

 

④運転の交替があった場合はその地点・日時

交替した地点と日時に関してもドライバーの乗務時間の把握に必要な項目となります。

 

 

⑤休憩・睡眠をした場合はその地点・日時

自動車運転業務につく者には「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」によって休憩時間の基準が決められており、4時間連続して走行した場合には少なくとも30分の休憩を取らなければいけません。

そのため、休憩・睡眠に関しては、その場所も含めて運送日報又はタコグラフへしっかり記録しておく必要があり、記載項目に含まれています。

 

 

⑥貨物の積み付け状況(大型車のみ)

過積載は重大事故にもつながります。特に積載重量の大きい大型車が事故を起こした場合の被害は、甚大なものになる確率が高くなります。そのため、大型車の運送日報には貨物の積み付け状況についての記載をしなければいけません。

 

 

⑦事故または著しい運行の遅延、その他の異常が発生した場合はその概要と原因

道路交通法第67条第2項に該当する交通事故、つまり「交通事故によって人の死傷もしくは物の破壊があった場合」は日報へ記載する必要があります。

また、自動車事故報告規則第2条に該当する事故に関しても日報へ記載することが定められています。具体的には以下のようなケースのことです。

  • 転覆・転落・火災・鉄道
  • 飲酒・無免許・麻薬の使用
  • 車輪脱落
    など。

国土交通大臣への届出が必要な1号から14号までの事故の種類が含まれています。

 

⑧運行指示書を作成しなければならない場合で指示書に基づく指示があった場合の内容

運行計画が変更になり、運行指示書が必要な乗務=2泊3日以上の運行を行うこととなった場合には、その運行内容を運行日報に記録する必要があります。

 

 

運転日報の3つの活用方法

ドライバーが日々記録している運転日報には重要な情報が詰まっているため、うまく活用することで業務改善に役立てることも可能です。ここからは業務改善のための運転日報の活用方法について解説していきます。

 

 

①燃費の向上を図る

運転日報には乗務距離の記載項目があり、乗務終了時のメーターから乗務開始時のメーターを差し引くことで走行距離を算出することができます。

「乗務終了メーター」―「乗務開始メーター」=「走行距離」

この数値と給油燃料の量から燃費を計算することで各ドライバーの運転状況を把握し、エコ運転の指導を推進していくことで燃費の向上と経費削減につなげていくことができます。

 

 

②行き先・使用目的を把握して適正利用を推進

ドライバーの行き先情報をしっかり把握できていなければ車両の無断使用がされていても気づかない恐れがあります。車両の適正利用がされていなければ無駄な費用が発生するため、会社にとってはマイナスです。

会社のトラックを無断で使用する従業員がいるの?

と思うかもしれませんが、筆者の勤務していた運送会社では休日の買い物に会社のトラックを使用していたドライバーがいて問題になりました。

こうした不正や経費の無駄遣いをなくすためにも運転日報を活用し、走行距離が適正であるかの確認を含めたドライバーの管理が重要となります。

 

 

③車両の状況を確認する

トラックの安全走行のためには日々の点検をしっかり行い車両の状態を把握しておくことが大切です。

運転日報に走行中の不具合や異変について記録することを徹底することで、常にトラックを良い状態で保つことができるようになります。

万が一不具合が起こっても早い段階で整備することができ、修繕費用を安く抑えられたり、長く乗り続けることができるといったメリットがあります。

 

 

まとめ

運転日報を記録することで各ドライバーの労務管理をはじめ、車両管理や運行管理にも役立てることができるため非常に重要なものと言えます。

また、業務の効率化や経費削減などの業務改善にも活用することもできるので、管理者・ドライバーそれぞれが運行日報の重要性をしっかり把握することが大切です。

 

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