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運送業のはじめ方 運送業許可

緑ナンバーの取得方法と費用、取得するメリット・デメリットをまるごと解説

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運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

運送業を始めるなら、緑ナンバーは必須。しかし、緑ナンバーのトラックを運転したことがある人は大勢いても、自分で運送業許可の取得手続きをしたことがある人はほとんどいないのではないでしょうか。

そこでこの記事では、緑ナンバーを取る方法や必要となる費用、取得するメリット・デメリットなどについて、わかりやすく紹介していきます。緑ナンバーを取るかどうか迷っているなら、ぜひこの記事を読んで参考にしてください。

 

 

まずは緑ナンバーとは何か知っておこう

緑ナンバーとはもともと、運送業の車両に取り付ける緑色のナンバープレートのこと。そこから転じて、運送業許可(正式名称:一般貨物自動車運送業許可)や運送業用に使用する車両自体も表す言葉になりました。「営業ナンバー」や「青ナンバー」とも呼ばれます。

緑ナンバーがなければ、貨物運送事業は出来ません。緑ナンバーには自家用車に付く白ナンバー同様、地域名、分類番号、ひらがな、4ケタの数字(一連指定番号)が記載されています。

 

 

緑ナンバーの取得方法

緑ナンバーを取る場合、「一般貨物自動車運送事業許可=運送業許可」が必要となります。

許可取得にはいくつもの厳しい要件をクリアしなければならず、大変な時間と労力はかかりますが、裏を返せば、それだけ社会的に大きな責任を負う仕事とも言えます。

緑ナンバーの申請にあたっては、1年かかってご自身で行ったという方もいるようですが、行政書士に手続きの代行を依頼するのが一般的です。

 

 

運送業許可取得のための準備をしよう

緑ナンバーを取得するには、まず申請者が申請資格を満たしているかを確認した上で、以下の物を全て揃えましょう。

  1.  事業開始に必要な資金を超える自己資金=預貯金
  2.  運行管理者、整備管理者、5人以上のドライバー
  3.  トラック5台以上
  4.  営業所・休憩室(必要であれば睡眠施設)、駐車場

同時に、申請書類の準備も進めておきます。

なお、1の運行管理者・整備管理者・ドライバー、3のトラックは運送業許可の申請時においては確保できる予定であれば構いません。

ただし、トラックに関しては、売買契約書などで確保できていることを証明する必要があります。

緑ナンバートラック

 

緑ナンバー取得のザックリした流れ

次に、事業を始めるまでのザックリした流れを見ていきます。

 

 

1 許可要件の確認

前項「取得のための準備」で紹介した要件が、許可基準を満たしているかをチェックします。

 

2 申請書類準備と作成

基準を全てクリア出来たら、賃貸借契約書や残高証明書、車両の売買契約書など、申請に必要な書類をすべて揃えましょう。

 

3 残高証明書の取得

事業開始資金を有していることを証明するための残高証明書の取得。

 

4 運輸支局へ申請

全ての書類が準備出来たら、運送業の営業所管轄する運輸支局へ申請します。審査には4か月~5か月かかるため、事業をスタートさせるまでの期間に余裕を持っておきましょう。

 

5 (役員)法令試験受験の受験

申請者が個人なら事業主本人、法人なら常勤役員のうち1人が法令試験に合格しなければ、運送業の許可は取得できません。

法令試験は2ヶ月に一度、奇数月に実施され、2回続けて不合格の場合、申請取り下げとなってしまいます。

 

6 運輸業許可取得

法令試験に合格し、運輸局の審査が終了すると、運送業許可を得ることができます。

 

7 登録免許税納付

登録免許税12万円を税務署や銀行、郵便局で期限内に支払い、領収書を必要書類と一緒に運輸支局へ提出してください。

 

8 運送業許可書の交付

運輸支局で運送業許可書を受け取ります(地域によっては許可書交付式が地方運輸支局で行われます)。なお、許可が下りたとは言え、まだ手続きが残っているため、この段階では事業を始められません。

 

9 選任届の提出

運行管理者と整備管理者の選任届を地方運輸支局へ提出します。

 

10 運輸開始前確認の届け出

車両の概要や従業員の社会保険への加入状況、ドライバーや運行管理者の氏名などを記載した「運輸開始前確認」を地方運輸支局へ提出します。

 

11 事業用自動車等連絡書発行

運輸開始前確認の届け出が完了すると「事業用自動車等連絡書(通称、連絡書)」が発行されます。

 

12 緑ナンバー取り付け

発行された連絡書と、車検証変更用の書類を陸運局へ持参して、事業に使用するトラックへ緑ナンバーを取り付けます。

 

13 任意保険加入

事業に使用する車両の自動車保険加入手続きをします。

 

14 事業開始

ついに、トラック運送事業のスタートです。

 

15 運輸開始届=すべて完了

運送業を開始したら、その日以降速やかに、車検証や自動車保険証券の写しを添えて営業所を管轄する運輸支局へ運輸開始届を提出してください。

その際、運賃料金設定届出書も合わせて提出します。

高速道路を走るトラック2

 

運送業許可取得にかかる費用

緑ナンバーを手にするには、時間や手間に加えてお金がかかります。しかし、出来るだけムダなコストはかけたくないですよね。

そこで、自分で手続きを行った場合と行政書士に申請代行を依頼した場合とで、どれだけの違いが生じるのか比べてみました。

 

 

自分で申請する場合

自分で運送業許可申請する場合にかかるのは、基本的に13万円ほど。内訳は登録免許税12万円、ナンバープレート代、印紙代、法人登記簿謄本や戸籍抄本代などを合算した約1万円です。

必要最低限の費用で済みますが、開業準備に追われる中で何度も運輸支局に足を運んだり、慣れない書類を作成したりするため、手続きが思うように進まないのが事実です。

運送業許可を取得するまでに1年近くかかるケースもあります。

 

 

行政書士に依頼する場合

登録免許税等の約13万円のほか、行政書士に支払う報酬分の費用が加算されます。運送業許可に関する行政書士の平均報酬は50万円ほどですから、合計で約63万円程度かかります。

自分で手続きするよりも費用は高くなるものの、許可が下りるまでの時間と心的疲労を削減でき、開業準備に専念できるため、忙しい方や難しいことは任せたいという方にとって、行政書士へ手続き代行を依頼することは大きなメリットとなるでしょう。

何より、慣れない申請書類を作成するストレスがないというのは一番大きいのではないでしょうか。

 

 

緑ナンバー取得のメリットとデメリット

緑ナンバーを取ることによるメリットがある一方で、もちろんデメリットも存在します。緑ナンバーの取得を検討しているのであれば、まずは、それぞれを十分に理解することが大切です。

以下に緑ナンバー取得のメリットとデメリットをまとめましたので是非ご覧ください。

 

 

緑ナンバー取得3つのメリット

緑ナンバーを取ることのメリットは主に3つです。それぞれ詳しく解説していきます。

 

 

メリット①|社会的信用が上がる

緑ナンバーを取るには厳しい取得要件を満たさなければならず、そのハードルをクリアできたこと自体が、事業者として信用に値することを意味します。

結果として、第3者からの信用度が上がり、金融機関からの融資を受けやすくなるなどのメリットがあります。

 

 

メリット②|事業規模を拡大できる

事業として貨物を運送したければ、白ナンバーはNGです。緑ナンバーなら公的機関や大手民間企業などへの営業も可能となり、仕事の幅が広がり事業規模を拡大することが可能です。

中には緑ナンバーを取得してから2年で車両台数40台以上という事業者様もいらっしゃいます。

 

 

メリット③|福利厚生の充実

緑ナンバーを取るには社会保険や労働保険への加入が必須です。社会保険・労働保険に加入すれば福利厚生が充実し、従業員にとって安心して働ける環境が保障されます。

昨今の求職者は福利厚生を重視するため、人材確保には有利に働くでしょう。

トラック13

 

緑ナンバー取得のデメリット

緑ナンバー取得のデメリットは以下のようなものがあげられます。

 

 

デメリット①|白ナンバーより経費がかかる

緑ナンバーの場合、車検以外にも3ヶ月ごとに点検整備を受けるなど、法的に義務付けられていることがたくさんあります。そのため、白ナンバーに比べて経費がかかることはデメリットと言えるでしょう。

 

 

デメリット②|運送業事務が必要になる

運送業事務とは、運送業務の内容を記録・保存することを言い、トラック運送業者は運送業務に関連する日報や点呼簿、運行指示書などの帳票類を記録・管理する義務を負います。

そのため煩雑な事務作業が発生することはデメリットと言えるかもしれません。

 

 

デメリット③|ドライバーの労働時間管理などが必要になる

トラックドライバーの労働時間は、改善基準告示によって細かく定められています。改善基準告示とは、厚生労働省から出された「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」のことです。

事故防止の観点から、1日の拘束時間は基本13時間以内、最長16時間まで、休息期間は継続8時間以上など安全輸送のための決まりが定められています。

トラック運送事業者が悪質な違反を起こした場合などは、ナンバーの一時返納処分(日車)などを受ける場合もあるので、しっかりと、改善基告示を守るようにしなければいけません。

そのため、トラック運送事業者は労働時間などの管理は必須事項となります。

 

 

まとめ

運送業開業へ向けた準備開始から、実際に事業をスタートさせるまでには、長い時間と多くの煩雑な手続きが必要となり、厳しい要件をクリアすることも求められます。それらを自力で進めていくのは非常に困難です。

1日でも早く、かつスムーズに事業を始めたければ、専門知識と豊富な経験を持つ行政書士の力を借りることをおすすめします。「行政書士法人シフトアップ」では、運送業許可専門の行政書士が全力でサポート致しますので、どうぞ安心してお任せください。

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