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これからのトラック運送会社で勝ち組になるには?運送業界の今後とは?

kglo-kawai

運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

インターネット通販の拡大など、市場の追い風を受けて業績拡大が続く運送業界。現在、運送会社で働いている方や、転職先として運送会社を検討している方など、運送業界の動向が気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、運送業界が今度どうなるのかという予測から、運送会社で勝ち組になるために必要な視点までを分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。

まずは、運送業界の今後はどうなるのか見ていきましょう。

 

 

トラック運送業界の今後はどうなる?5つの重要ポイントとは

トラック運送業界の今後を語る上で、ポイントとなるのは5つです。運送業界が直面している期待と課題を、両側面からひも解いていきましょう。

 

ポイント①|トラック運送業は今後もなくなることはない

まず、運送業という業界そのものの将来性について考えると、絶対になくならない業界であると断言できます。

なぜなら、人々が社会生活を営む限り、何かしらの物資が必要とされ、それをすべて自分たちで調達することは不可能だからです。ドローンやロボットなどの技術を駆使して、人の手を介さなくなったとしても、業界そのものの基盤が強固である点は心強いと言えます。

 

ポイント②|課題はドライバーの高齢化とドライバー不足

そんな強固な基盤を持つ運送業が直面している課題は「深刻な人材難」。具体的には、ドライバーの高齢化とドライバー不足です。平成26年の厚生労働省の調査によると、トラックドライバーの平均年齢は46.2歳。

大型長距離トラックのドライバーに絞って見ると、40代のドライバーが40%、50代のドライバーが39%を占めているという調査もあります。この労働力のボリュームゾーンである40~50代が引退する10年後から、ドライバーの人数が激減するということです。

 

ポイント③|インターネット通販に輸送量はさらに増加

上記に加えて、近年はAmazonや楽天などのEC市場の急拡大により、配送量が急拡大。増え続ける配送量に対して、ドライバーの新規採用が追い付いていないことが、業界全体の大きな課題となっています。

経済産業省によると、国内のEC市場は、2016年には15兆円を突破。毎年10%以上の成長を続けてきた上に、2020年には、新型コロナウイルスの影響で巣ごもり消費がさらに加速。人々の生活様式の変化とともに、さらにEC市場が拡大することは確実と言われています。

 

ポイント④|新しい配達方法やAI、自動運転が今後導入されていく

そんな人手不足を解消するため、期待されているのが、テクノロジーを駆使した物流の自動化です。トラックの自動運転、倉庫作業を自動で行なってくれるロボット、ドローンを使った配送網など、人の手を介さない物流のビジネスモデルが次々と表れ始めています。

革新的な技術の導入により、運送業全体のドライバー不足解消が期待できるでしょう。

 

ポイント⑤|女性ドライバーが活躍していく時代に

トラックドライバーというと男性が多いイメージですが、最近では女性も増えてきています。特に、インターネット通販の宅配ドライバーは、小型の宅配物も多いため普通免許で運転できるコンパクトな車両でも十分可能。

普通に運転ができれば、女性や主婦でも活躍できる職種に変化しつつあると言えます。

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トラック運送会社で勝ち組になるために必要な4つの視点

ここまで、トラック運送業界の現状と将来性について、解説してきました。それでは今後、運送会社で勝ち組になるためには、実際にどうすればいいのでしょうか。4つの視点に分けて解説します。

 

 

視点1|人材の確保と育成

1つ目の視点は人材の確保と育成。生き残っていくためには、まずドライバーを新規採用し育成することが不可欠です。大型・中型免許を持っている即戦力がほしくても、経験者の確保は難しいので、未経験者を育てるつもりで採用する視点が必要です。

人財の確保と育成についての主な施策は以下のようなものが考えられます。

 

 

従業員の満足度を向上させる

確保した人材の定着率を高めることが大切です。ドライバーが固定化すれば、頻繁に求人広告を出さなくても済みますし、ドライバーの経験値が上がれば事故やミスも減り、顧客満足度も高まります。

このように、せっかく採用した人材を定着させることは有益であり、そのためには従業員の満足度を向上させる企業努力が欠かせません。

 

 

一人ひとりに合わせた働き方を実現する

トラックドライバーと言うと、深夜配送や長距離配送でガッツリ稼ぐイメージがあるかもしれません。しかし、働く人の価値観は一人ひとり異なります。休みより給料を優先する人もいれば、収入はそこそこでいいからプライベートを大切にしたい人もいます。

そうした一人ひとりの価値観に合わせた働き方を実現できる雇用形態や給与体系を準備すれば、幅広い層のドライバーから支持され、人材を確保できる可能性が高まります。

 

 

免許などの資格取得を支援する

入社のハードルは限りなく低く設定し、入社後に働きながらステップアップできる仕組みを作ることも有効です。中型免許やフォークリフト免許など、仕事に活かせる資格取得にかかる費用の一部を運送会社が負担する制度は、求職者にとって魅力的に映るでしょう。

 

 

視点2|運送業務の効率化

2つ目の視点は、運送業務の効率化。取引先との調整や、テクノロジーを駆使することで、人の手を介さなくても回るビジネスモデルを模索していくことが、勝ち組へ近づく大きな一歩になります。

まずは、取引先との連携を強化することで運送業務の効率化を図りましょう。さらにITを活用していくことで、これまで人の手で行なっていた作業を自動化し、無駄を排除し人件費の削減に繋げていく視点が欠かせません。

 

 

視点3|多角化による付加価値の向上

3つ目の視点は、付加価値の向上です。利用者にとって大きなメリットとなるよう品質にこだわり、付加価値を高めていくことが大切です。短期的な視野でトラックの売上が減ってしまっても、長期的な視野で利益が出るのかという戦略が必要です。

具体的な事例を紹介すると、例えば食品メーカーの営業が、ライトバンで注文を受けるルートセールスを行なっていた場合、物流のアウトソーシングとともに、このルートセールス業務も代行する提案を行なうケース。

このように多角的なサービスにより、モノを運ぶだけではない付加価値を提供していくことが、業界内で存在感を高めていくヒントになると言えます。

 

 

視点4|安全対策と環境対策の取組み

4つ目の視点は、安全対策と環境対策です。トラック運送業を営む上で、安全対策は重視すべき事項です。トラック協会に加入している事業者であれば、安全運転の講習が受けることができたり、ドライブレコーダーやバックカメラの取り付けに助成金がもらえたりといったサポートもあります。

安全対策が万全に整ったら、企業の社会的責任として環境対策にも積極的に取り組んでいけると良いでしょう。環境・エネルギー対策に積極的に取り組んでいるという企業姿勢をアピールすることで、荷主や求職者からの信頼度アップにもつながる利点もあります。

ISOやグリーン経営認証、Gマークなどを積極的に取得していきましょう。

 

 

まとめ

トラック運送業界の今後の動向は、配送量の増加で業績は右肩上がりの成長を続ける見込みです。しかしながらドライバー不足で採用が追い付いていないため、AIなどの技術による業務効率化や、女性ドライバーの活躍といった取り組みが期待されています。

さらに、これからの運送会社では、確保した人材の育成や満足度向上に注力していくことが欠かせません。本記事で解説したトラック運送業界で勝ち組となるための4つの視点を1つ1つ実行していくことができれば、明るい未来が待っているのではないでしょうか。

 

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運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

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