当事務所は、毎月多くの方から運送業許可申請のご相談を頂いております。そこでこのページでは、これから運送業を開業する方のために、これまでの開業事例をもとに、運送業開業を成功させるための4つのポイントを優しくご説明いたします。
それでは1つ目のポイントから見ていきましょう。
ポイント① 荷主の確保はできているか
運送業を開業するということは、ビジネスを始め、そのビジネスを継続させるということです。3年やってやめるというような方でない限り、ビジネスを「継続させる」ことはもっとも重要といっても過言ではありません。
ビジネスを継続させるためには、キャッシュ=お金がまわることが大前提となります。お金がまわるということは、運送業で得た売上から毎月の支出=経費を支払ってもお金が余る状況ということです。
売上より経費の方が多い状態が続くと、運送業を行うための資金がなくなり事業継続することはできません。ですから、とにもかくにも売上の確保が必用となります。
では、売上を確保するにはどうすれば良いかというと、あなたに仕事を依頼してくれる荷主=ファンを作ることです。
この記事をお読みの方の多くは、運送業界に身を置いていらっしゃるかと思います。ですから、独立しても一定数の荷主は確保できる予定があるので問題ないでしょう。
もし、仕事の依頼をくれる荷主がいないという方は、まず売上を作るための荷主を確保することに専念して、運送業開業の準備を進めてください。
ポイント② 経費にはどんなものがあるか把握する
売上の話のつぎは、経費=事業を続けるために出ていくお金の話です。ビジネスを始めると金額の差こそあれ、毎月の経費は必ず発生します。ですから運送業を開業する前に、運送業運営上いったいどんな経費が発生するか確認していてください。
運送業を続けるために発生する経費には何があるの?
運送業で必要となる主な経費=支出を以下にあげてみます。
- ガソリン代
- 車両費(リースやローンの場合)
- 車両修理代
- 車両の3ヶ月点検代
- 車検代
- 自動車任意保険料
- 自賠責保険料
- 貨物保険料
- 自動車税
- 自動車重量税
- 自動車取得税(リースや古い車両の場合不要)
- 事務所の賃料(自己所有の場合は不要)
- 駐車場の賃料(自己所有の場合は不要)
- マーカー、タイヤ、オイルなどの消耗品代
- 従業員へ支払う給料
- 役員報酬(法人の場合のみ)
- 社会保険料・厚生年金保険料(併せて社会保険料と言います)
- 労災・雇用保険料(併せて労働保険と言います)
- 税理士顧問料
- 法人市民税(法人の場合のみ)
- 法人事業税(法人の場合のみ)
などなど。
上記がすべてありませんが、改めて書き出してみるとたくさんありますね。運送業を開業しようと思ったら、事業が継続できるように毎月の経費にどんなものがあるか把握しておくのも重要です。
実際に事業を始めると本当に色々な経費が出ていきます。運送業においては、特に車両修理代は思いがけず高額になる場合があるので、なるべく会社にお金を貯めるようにしないといけません。
重要なので繰り返しますが、経費を合算した額以上の売上がないと事業を継続することができなくなってしまうので常に意識してください。
ポイント③ 従業員は確保できるか
運送業を始めるには最低でもドライバー5人と運行管理者1人の計6人の人材が必要です。基本的には常に6人を確保できていないと事業を続けることはできません。
しかし、昨今は仕事はあるが人材がいないために起こる「人材不足倒産」というものがあります。
シフトアップは運送業支援の専門事務所なので、私は運送会社の社長とよく話をします。社長たちが口を揃えて言うことは「人出が足りない」です。ほとんどの運送会社は人手不足に頭を悩ませているということですね。
稼ぐという側面から見ると、現在は他にも魅力的な職業がたくさんあるということです。
昭和の時代は、お金を貯めるならドライバーをやるというくらい、運送会社のドライバーは給料の良い職業でした。しかし、自動車事故の多発によって1日に働く時間の制限などの取り決め(改善基準告示と言います)などが厳しくなったため、ドライバーは儲かる職業ではなくなってしまいました。今では、下手をするとコンビニでバイトをやっても同じくらいの給料は稼げてしまいます。
では、給料をたくさん払えばドライバーを確保できるかというと、そんな単純な話ではありません。
いくら給料がよくても、仕事に魅力を感じたり、会社を好きにならないと人は辞めてしまいます。従業員の定着率の良さが会社の良し悪しを決めるわけではありません。しかし、辞めた人材の穴がすぐに埋まるくらいの魅力ある会社作りをしないと運送会社を経営するのが難しい時代であるのは事実です。
あなたは、どんな魅力のある会社を作りますか?
※行政書士によっては5人で開業できるという意見をお持ちの方もいますが、実際の運送業運営を考えるとドライバー5人と事務所に常勤できる運行管理者1人の計6人が必用です。
ポイント④ 運送業を開業する目的はなにか考えてみる
ある意味、これが一番大切です。先ほど述べた魅力ある会社作りにも関係してくる話です。
事業を運営していると、毎日いろんなことが起こります。例えば、
- 目を掛けていたドライバーが突然退職すると言い出した。
- ドライバーが集荷場内で物損事故を起こした。
- 引き受けるかどうか迷うような定期便の依頼が来た。
など。
嬉しいことと同じ数だけのショックな出来事や悩むような出来事が起こります。それでも前に進むために、プラスの出来事もマイナスの出来事も含めて、経営者は色んなことを日々ジャッジしていかなければなりません。
そのジャッジを下すための指標になるのが、事業=運送業を行う「目的」です。なぜ、運送業をやるのか?
この「なぜ」がはっきりしているということは目的がはっきりしているということです。例えば、
- 精密機械の輸送で日本一になる。
- ドライバー満足度が中部圏一の運送会社になる。
- 物流業界に革新を起こす運送会社になる。
など。
「なぜ運送業をやるのか」が決まっていると、何か決断を下すことが発生したときに、決めた目的に近づくかどうかで判断することが可能になります。
もし、目的があいまいだと、判断するための指標がないため長時間悩んだり、整合性の取れない決断をして従業員を不安にさせたりする可能性が高くなります。
少し抽象的な話になりましたが、なぜ事業を行っているかの「目的」をはっきり持っている経営者は、上手く経営をしている方が多いのは事実です。
一度、立ち止まってなぜ運送業を開業するのか、その目的を考えてみることをおすすめします。
まとめ
運送業開業の前にしっておきたいポイントは、
- 荷主の確保ができているか
- 経費にはどんなものがあるか知っておく
- 従業員は確保できているか
- 運送業を開業する目的はなにか考えてみる
でした。
どれも運送業を行ううえで大切なことです。運送業を開業して、それを継続していきたいという方は、これらを意識しておいてくださいね。
運送業の開業について不安なことや気になることがあれば、運送業専門で開業相談や許認可取得を行っている「行政書士法人シフトアップ」までお気軽にご相談ください。豊富な経験をもとにアドバイスいたします。
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