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運送業のはじめ方 運送業許可

運送業許可申請は行政書士か自分のどちらで行うのが良いか公平な目で検証してみた

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運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

運送業許可を取ることを検討している、または差し迫って運送業許可を取らなければいけないという方が悩むのは、自分で許可申請にチャレンジするかどうかでしょう。

そこで、運送業許可申請は自分でやった方が良いのか、または書類作成のプロである行政書士に依頼した方が良いのか。その判断基準を検証していきます。

注意)この記事を書いているのは行政書士ですが、記事をご覧頂く方のために公正な観点で書いておりますのでご安心ください。

 

 

判断基準①|行政書士報酬を必要経費と思えるかどうか

何はともあれ、これでしょう。行政書士に運送業許可申請を依頼すると平均的に50万円前後の費用がかかります。

50万円は決して安くない、むしろ高い経費です。運送業を開業するにはトラックの購入や事務所、車庫の賃貸または購入など高額な費用が必要となります。

これらの費用に加えて、行政書士への報酬を開業に必要な経費として考えられるのであれば運送業許可を専門としている行政書士に外注した方が良いでしょう。

 

対して、行政書士に50万円も支払うなんてもったいない。開業費用は1円でも安くするべきだと思えば、ご自身で申請書類を作成することをおすすめします。

事業を始めるときの初期費用は安くするに越したことはありませんからね。

 

 

判断基準②|時間が十分にあるかどうか

もし、ご自身で運送業許可申請を行うのであれば、申請受付までの間にかなりの時間を浪費することを覚悟してください。ですから、

  • 今は運送会社でドライバーをやっている。
  • 別事業もやっている。

などの理由で時間がないという方は行政書士に依頼した方が良いでしょう。

なぜなら、行政書士業務の中でも、運送業許可は難易度が非常に高い部類に入るからです。シフトアップでも、お客さまのご相談内容を整理し、必用書類を精査しながら申請書を短時間で作成するために、経験豊富なスタッフ何人もが力を合わせて取り組んでいます。

 

対して、「時間は十分にある。だから、時間をかけてでも自分で挑戦したい。」という方はご自身で申請すべきです。

行政書士でも非常に難しいと感じる人の多い申請書類を作成し、許可を取得できたときの達成感はなかなか味わうことができません。

ご自身で申請しようと考える方は圧倒的な少数ですが、実際に1年かけてご自身で運送業許可申請をして許可取得したという方がいらっしゃるのも事実です。

ちなみに、私が以前勤めていた運送会社が別法人を作って運送業許可を新規に取ったときは、社長の奥様が何度も運輸支局へ足を運んで許可を取得しました。

 

 

判断基準③|運輸支局から近い場所に住んでいるかどうか

これも重要な要素です。運送業許可申請は、営業所とする場所のある都道府県内の地方運輸支局に申請書類を提出します。

ここで問題なのは、地方運輸支局は各都道府県に1ヶ所しかないということです。

申請者となるあなたが住んでいる場所、あるいは会社のある場所から地方運輸支局が100㎞離れていても、管轄となる運輸支局のある場所へ申請書を提出しなければなりません。

 

1回の申請で無事受付となれば良いのですが、申請経験のない方であれば2回、3回、4回と地方運支局へ通うことになる確率は100%です。

ですから、住んでいる場所や会社の場所から、管轄となる地方運輸支局までの距離が何キロ離れているか。これも判断基準の一つとした方が良いでしょう。

 

 

判断基準④|面倒なことが苦にならないかどうか

誰でも得意なことと、そうでないことがあります。例えば、料理の嫌いな人に料理を作ってと頼むのは苦痛を与える以外の何ものでもありません。

もし、あなたが書類作成や調べごとが嫌いで面倒だと思う人なら、時には100枚以上となる運送業許可申請書類を作成しろというのは心に負担を与えるだけです。ですから、運送業許可申請は行政書士に依頼することをおすすめします。

対して、チャレンジ精神に溢れ、面倒なことでも苦にならずに取り組めるという方にとっては成功体験を積む良い機会になるはずです。書類作成も運輸支局への往復も気にせず挑戦できるという方は、ご自身で申請することをおすすめします。

 

ここまでお読みになって、行政書士に依頼するか、しないかお決まりになりましたか?

次は、行政書士に依頼するとき、ご自身で申請するときの注意ポイントのご説明です。

 

 

行政書士に依頼するときの注意ポイント

「餅は餅屋」という言葉があります。これは、何事でもその道のプロに任せることが一番ということのたとえです。

行政書士は書類作成のプロですから餅屋ということになります。ただし、注意しないといけないことがあります。それは・・・

 

行政書士に依頼するときにとっても大切なことをコッソリ教えます

ここはお客様にとって重要な部分の一つです。

行政書士に依頼するときに大切なことは、行政書士だからどんな許認可にも精通しているとは限らないということです。

 

行政書士の業務は1,000種類以上あると言われています。建設業許可や産業廃棄物収集運搬業許可、会社設立や相続業務など、市場規模の大きな業務だけでも20種類ほどはあるでしょう。

この約20種類の業務すべてに精通しており、専門家と呼べるレベルの行政書士はいないということです。もしかしたら、いるかもしれませんが今のところ私は見たことも聞いたこともありません(法人化してスタッフを多数雇用している行政書士法人は別です)。

 

行政書士はどうやって事務所運営をしているかというと、大方はメイン業務を持って経営しています。

事務所のメインとして扱っている業務であれば、依頼を受ける数も多いので申請に関する知識やノウハウが蓄積され、得意業務として事務所のメイン業務となっていきます。

逆にメイン業務以外は、あまり依頼を受けない、受けても外注に回すという事務所が多いものです。ということは、運送業許可を一度も扱ったことがない事務所が多数存在するということです。

 

ちなみに、シフトアップでは、医療法人設立や外国人ビザ関係など、着手したことのない業務の依頼を頂いときは信頼のおける専門家をご紹介しております。

やったことのない業務を「やったことがありません。」とはっきりお客さまに伝えることも専門家の仕事だからです。何より大切なお客さまにご迷惑をおかけすることはできませんしね。

 

もし、運送業許可を依頼するなら運送業を専門としている行政書士に依頼した方が安心できるという方は、運送業許可をメイン業務としている事務所に依頼することをおすすめします。

例えるなら、美味しい焼肉を食べるなら居酒屋よりも焼肉専門店で食べたいと考える人。このような方は、運送業許可を専門としている行政書士に運送業許可申請を依頼した方が高い満足感を得られるということです。

 

 

行政書士ってぶっちゃけどうなの?

これから行政書士に仕事を依頼しようかと考えている人は、行政書士はどんな人が多いのか気になるところだと思います。

傾向としてはコミュニケーションの下手な人が多いです(もちろんすべての人がそうということではありません)。

行政書士だから頭が良くて誠実で真面目な人が多いかと言われれば、人によりけりです。例えば

  • 起業のことをよく知っている人、知らない人
  • 仕事の早い人、遅い人
  • 横柄な人、腰の低い人
  • マメな人、ズボラな人
  • 責任感のある人、ない人
  • 人の話を否定したがる人、肯定的な人
  • お客さまを心底応援する人、しない人

色んなタイプの人がいます。行政書士は全国で43,000人いますから当然のことかもしれませんね。

 

一つ確実に言えることは、自分のやっていることはサービス業だと認識して、お客さま満足度向上のために、異業種を研究してお客さまに提供するサービスを考える人や、起業に関することをよく知っている人は極端に少ないです。

 

 

ご自身で申請するときの注意ポイントをコッソリ教えます

運送業許可申請の受付窓口である地方運輸支局についてのお話です。これは、経験上からのお話で、偏見は入っていません。念のため。

地方運輸支局の審査官は、我々行政書士が申請書類を持っていくのに比べ、一般の方が持っていく方が厳しい目で審査をします。

行政書士は書類作成を職業としているため、運輸支局からある程度きっちりした書類を作成しているという信頼感を得ています。

 

対して、一般の方が作った申請書類はミスや不備があることを前提として審査するため、必然的に審査の目は厳しくなります。ですから申請受付までの道のりは非常に険しいものになるということです。

人の心理として、一定の信頼感を抱いている人が作ったものには、無意識に信頼を感じます。これに比べて、信頼感のない人が作ったものは、信頼を感じませんから仕方ないかもしれないですね。

ちなみに、厳しさは担当官レベルで変わります。彼らも人ですから、その点はご了承ください。

 

 

まとめ

運送業許可申請をご自身で作成・提出するかどうかの判断基準は

  • 開業費用を少しでも安くしたいと思うかどうか
  • 時間が十分にあるかどうか
  • 運支局まで時間かからない場所に住んでいるかどうか
  • 面倒なことが苦にならないかどうか

でした。

どんな判断基準を大切にするかはお客様しだいです。これは外せないと言う判断基準をいくつか決めて、運送業許可申請をご自身で行うかどうか判断しましょう。

 

 


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