運送業許可とは?周辺知識もあわせて専門家が徹底解説

運送業許可

運送業許可とは?周辺知識もあわせて専門家が徹底解説

kglo-kawai

運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

運送業許可とは一体なに?

この記事では、そんな素朴な疑問にシフトアップの運送業許可専門行政書士が分かりやすくお答えします。これから運送業許可取得を目指すという方は申請前に一度ご覧ください。

 

運送業許可ってなに?

運送業許可とは簡単に言うと

「運賃をもらってトラックを使用して荷物を運ぶための許可」

です。

 

厳密に言うと運送業は数種類ありますが(後ほどご説明します)、わかりやすくするためトラックを使って荷物を運ぶことを「トラック運送業」と言うことにします。

 

 

トラック運送事業についてもう少し詳しく説明すると・・

トラック運送事業は、厳密に言うと下記の2種類が存在します。

  1. 特定貨物自動車運送事業
  2. 一般貨物自動車運送事業

 

 

2つの違いは以下のとおりです。

  1. 特定貨物自動車運送事業=荷物の輸送の依頼を受けるのが1社だけの運送事業
  2. 一般貨物自動車運送事業=荷物の輸送の依頼を受けるのは複数社の運送事業

 

そして、それぞれの事業を行うための許可を

  1. 特定貨物自動車運送事業許可
  2. 一般貨物自動車運送事業許可

 

と言います。

 

 

特定と一般のどちらを取るのが良いのか?

シフトアップに運送業許可取得の相談をいただく方の中には、特定貨物自動車運送事業の許可を取りたいという方がいらっしゃいますが、一般貨物自動車運送事業許可の取得をおすすめしております。

 

その理由は、特定貨物自動車運送事業は文字通り特定の荷主、つまり1社のみの荷物の輸送を行うための許可です。今は得意先である荷主が1社しかない場合でも事業継続していくなかで荷主が増えた場合は、一般貨物自動車運送事業許可を取りなおすことになってしまうためです。

 

 

以下ではもう少し踏み込んで運送業許可のお話をしていきます。

 

 

トラック運送業と運送業許可のお話

トラック運送業のお話に入る前に「運送業」について詳しく見ていきます。

 

3種類の運送業

前述したとおり、運送業には複数の種類があり、その種類は以下の4つです。

①特定貨物自動車運送事業

②一般貨物自動車運送事業

③貨物軽自動車運送

④貨物利用運送事業・登録

 

皆さんが運送業と聞いてイメージするトラック運送業は①と②のことを言います。先にも述べたとおり、②特定貨物自動車運送事業を取る方は99%おりませんので、運送業と言えば「一般貨物自動車運送事業」のことだと思ってください。

 

 

運送業を行うための許可を「運送業許可」言います。つまり、一般貨物自動車運送事業を行うための許可は「一般貨物自動車運送事業許可」ということになります。

 

運送業と運送業許可の関係はご理解いただけましたでしょうか?

 

次からは、運送業許可=一般貨物自動車運送事業許可を取るための条件についてご説明します。

 

 

運送業許可をとるための条件

運送業許可を取るための条件は大きく分けて以下の4つになります。

  1. 営業所と休憩室の条件
  2. 車庫の条件
  3. トラックの条件
  4. 人の条件
  5. 資金の条件

これら4つの要件について、以下でざっくりご説明していきます。

 

 

営業所と休憩室の条件

運送業許可の営業所の条件はざっくり以下のとおりです。

  • 運送業に使用する車庫から直線距離で10km(地域によって5km)以内にあること。
  • 都市計画法に違反しない場所に建っており、建築基準法に違反しない建物であること。
  • 農地法などの法律に違反しない建物であること
  • 休憩室は一人当たり2.5㎡以上の広さを確保できること(営業所の広さの条件はありません)。

 

 

車庫の条件

運送業に使用する車庫の条件はざっくり以下のとおりです。

  • 運送業に使用する営業所から直線距離で10km(地域によって5km)以内にあること。
  • 都市計画法に違反しない場所にあること。
  • 屋根付きの車庫(有蓋車庫と言います)の場合は、都市計画法や建築基準法に違反しない建物であること(倉庫内やテント内を車庫にする場合)。
  • 農地法などの法律に違反しないこと
  • 車庫出入口前の道路の広さ=車道幅員が、車両制限令を取れる広さがあること。すなわち、トラックが行き交いできるだけの広さがあること。

 

 

トラックの条件

軽トラック以外の車両を5台以上確保できていることが条件となります。

 

「確保できていること」とは、運送業許可申請時に車両が揃っているか、リースや割賦などで購入予定であることが証明のできる書類が提出できる状態のことを言います。

 

 

人の条件

  • 会社であれば役員、個人事業主であれば事業主が運送業を営むための能力があること。能力があるかどうかは、運送業許可申請受付後に行われる「法令試験」に合格すれば良い。
  • 過去2年以内に貨物自動車運送事業法違反などで運送業許可の取消し処分を受けたり、懲役刑などになっていないこと。
  • 運行管理者の資格を持つ者を確保または確保予定であること。
  • 運行管理補助者が確保または確保予定であること。
  • 整備管理者となれる者を確保または確保予定であること。

運行管理補助者がいることは許可取得の条件となっておりませんが、運行管理者が会社を休んだりしたときは、運行管理を行うものがいなくなるため運送業を行うことができません。ですから運行管理補助者は必ず必要になります。

 

 

「確保」の意味とは?

「確保」とは、運送業許可申請の時点で、申請者の会社に雇用されていないが、許可取得したら雇用されることが決まっている状態のことです。したがって、許可申請時に申請者の会社の従業員となっていなくても構いせん。

 

 

資金の条件

運送業許可を営むための当面の資金が確保できていることが条件となります。当面の資金は

  • 役員報酬や従業員の給与手当、社会保険料、労働保険料の2か月分
  • 営業所や車庫が賃貸の場合の賃料の6ヶ月分。購入の場合は頭金と6ヶ月分の支払額。括購入の場合は購入額全額。
  • トラックを購入する場合はリース料の6ヶ月分。割賦の場合は頭金と支払月額。一括購入の場合は購入額全額
  • ガソリン代の2か月分
  • 運送業開始にあたっての設備や備品購入金額の全額

などです。

 

これらの金額を合算した額以上の資金があることを銀行や郵便局が発行する残高証明書で証明します。

 

 

 

おまけ|貨物軽自動車運送事業ってなに?

貨物軽自動車運送事業は、軽貨物自動車を使い、運賃をもらって荷物を運ぶ事業のことです。ご注意いただきたいことは、一般貨物自動車運送事業と貨物軽自動車運送事業が区別されているということです。

 

区別されているということは、一般貨物自動車運送事業で使用するトラックの中には軽貨物自動車を含むことができないと言うことになります。

 

 

貨物利用運送事業許可・登録

貨物利用運送事業許可・登録は、「水屋」と言われる事業を行うためのものです。もうおわかりの通り、水屋とは、自らはトラックを持たず、荷主から来た荷物配達の依頼について、運送業許可を持っている運送事業者に運んでもらう手配をすることです。

ちなみに貨物利用運送事業は、①流通の一部の輸送手段のみを手配する「第一種貨物利用運送事業」

商品の出荷から最終着地まで貨物の一連の流通に係るすべての輸送手段を手配する「第二種貨物利用運送事業」

の2種類に分かれます。

 

 

まとめ

運送業と運送業許可の種類や関係性、運送業許可を理解するために知っておきたい周辺知識についてご説明しました。

 

運送業とは、荷主からお金をもらいトラックを使用して荷物を運ぶことであり、運送業を行うための許可が運送業許可となります。そして運送業許可を取得するためには、4つの条件をすべてクリアしなければいけません。

 

もし、運送業許可が必要かどうかわからない。運送業許可を取りたいのでもっと詳しく説明を聞きたいという方は、年間相談件数360件越えの運送業許可専門の「行政書士法人シフトアップ」へお気軽にご相談ください。


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