運送業の駐車場(車庫)を選ぶときの4つのポイント教えます

運送業のはじめ方 運送業許可

運送業の駐車場(車庫)を選ぶときの4つのポイント教えます

kglo-kawai

運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

やっとの思いでみつけた駐車場。運送業に使用できるかどうか調べたら「使えなかった」というのは悲しい話ですね。

しかし、実際に運送業で使えないケースがよくあるのは否定できません。

 

弊社シフトアップでは、すでに駐車場(車庫)の購入や賃貸の契約をしてから運送業許可申請のご依頼をいただくことがあります。そんなときに限って「使えない駐車場(車庫)」である確率が高いです。

やっとの思いで見つけた駐車場がそんなことにならないよう、運送業に使用する駐車場を選ぶときのポイントについてわかりやすくまとめました。

 

【補足】

法律上は青空車庫のことを「駐車場」、建物の中などにある、屋根付きの車庫のことを「車庫」と言いますが、このページではまとめて「駐車場(車庫)」と表記しています。

 

 

ポイント①|駐車場出入口前の道路の広さは大丈夫?

これが、もっとも駐車場の選定でネックになる部分です。運送業に使用する駐車場出入口前の道路にはざっくり以下の2つの制限があるので確認していきましょう。

 

 

出入口前の道路が相互通行の場合の制限

運送業で使用するトラックの幅を2倍して、さらに50センチ足した車道の幅が必要になります。

わかりにくいので具体例を示すと下記のようになります。

EX トラックの幅が249センチの場合249センチの2倍=498センチ498センチ+50センチ=548センチ

→ 548センチ以上の車道幅が必要。

 

ここで注意いただきたいのは、「車道=自動車が通る道幅」と「道路の幅」は違うということです。一般的に、

  • 歩道
  • 路肩
  • 路側帯
  • 車道

なども含めて道路と言います。

不動産仲介業者の出している物件詳細には、車道の幅ではなく道路幅が記載されているので注意してください。例えば、道路幅6mと書いてあっても、歩道や路側帯などの幅を除いた車道は、6mより狭くなるため十分な道幅が確保できない確率が高くなります。

 

 

出入口前の道路が一方通行の場合の制限

トラックの幅に50センチ足した車道の幅が必要になります。

こちらも具体例を示します。

EX トラックの幅が250センチの場合250センチ+50センチ=300センチ

→ 300センチ以上の車道幅が必要。

※車道の幅と道路幅の関係は相互通行の場合と同じです。

 

 

ポイント②|出入口はどこにある?その出入口は要注意かも

運送業に使用する駐車場の出入口にもいくつか制限があります。その中で最も注意すべきは「出入口の場所」です。

よくあるケースでご説明していきますので以下もご覧ください。

 

 

出入口が曲り角にある場合

運送業許可の要件をクリアできないわけではありませんが、交通安全が守れない可能性があるので注意してください。角地の出入口だとトラックが出入りするときに右折車、左折車と接触する確率が高くなりますよね。

ですので、駐車場出入口の場所には十分に気を付けてください。

 

 

出入口付近に横断歩道や歩道橋がある場合

出入口が角にある場合と同じく、横断歩道や歩道橋が近くにある場合は交通安全の確保ができない確率が高いのでご注意ください。

※運送業許可の要件をクリアできないわけではありません。

 

 

出入口付近にバス停がある場合

上記同様に交通安全が確保できない確率が高いので、運送業を運営するうえで注意してください。

※運送業許可の要件をクリアできないわけではありません。

バス停

 

ポイント③|駐車場の近くに学校や公園があるといけないって本当?

「お気に入りの駐車場が見つかったのに、すぐ近くに学校があるから運送業で使用できないですよね?」

これは、弊社のご依頼者様からよくいただく質問です。結論からいうと使用できないわけではありません。

しっかり交通安全が確保できることが証明できれば運送業で使用することは可能です。ただし、運輸局の職員を納得できる説明ができないといけませんのでご注意ください。

 

 

ポイント④|その駐車場は農地じゃないですよね?

これも駐車場の選定でよく問題になります。駐車場用地として貸しに出してる場所だから大丈夫だよね、と思った方は注意してください。駐車場だから農地でないという保証はどこにもありません。これは本当の話です。

弊社にご依頼頂いたお客様の中にも駐車場として借りた場所が、よくよく調べたら農地だったということは実際によくあります。

農地である場合は、「農地転用」という申請を市役所などに提出し、駐車場使用できる旨の許可を得ないと運送業の駐車場として使用できません。

では、農地とはいったいどんな場所のことかというと・・・

 

 

農地ってどんな場所のことを言うの?

日本の法律では、土地を何に利用するのか「カテゴリ―分け」されて法務局という場所に記録されています。

カテゴリーの代表的なものには

  • 宅地
  • 雑種地

などがあります。

この中で、田と畑は農地に分類されます。田畑を駐車場として使用する場合は、「農地転用」と呼ばれる許可を取らないといけません。

農地転用の許可が出るまでの期間は、早くて3ヶ月ほど。遅いと6ヵ月ほどかかります。また、場所によっては農地転用できないこともあります。

農地転用が必要な駐車場で運送業許可申請する場合、農地転用の許可が出るまでは許可も取れません。

 

ということは、運送業を始めるタイミングもずれる可能性があるということです。ですから、駐車場を決める場合は、その場所が農地かどうかを必ず確認してください。

ちなみに、不動産仲介業者が出す物件詳細はあてになりません。必ず運送業許可の専門家に確認してもらいましょう。

 

 

まとめ

運送業に使用する駐車場を決めるときに気を付けて頂きたいことをまとめてみました。まず出入口前の道路幅が条件を満たしていること。これが大前提となります。

そのほか、農地でないこと、出入口が曲り角や交差点、バス停付近にないことなども条件となります。

運送業に使用したい駐車場が見つかったけど、この場所は申請できる場所なの?そう思ったら、運送業許可専門の行政書士法人シフトアップへお気軽にご相談ください。


  • この記事を書いた人

kglo-kawai

運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

-運送業のはじめ方, 運送業許可
-, ,