運送業許可申請したい方に必ず役立つ情報をプロが教えます

運送業のはじめ方 運送業許可

運送業許可申請したい方に必ず役立つ情報をプロが教えます

kglo-kawai

運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

弊社シフトアップは年間360件以上の運送業許可申請のご相談を頂きますが、相談を受けてから1ヵ月以内に許可申請できる人は全体の2割ほどで、8割は

  • どうしてもっと早く相談してくれなかったの?
  • ・許可を取ろうとする前にこれだけは押さえて欲しいかったのに。

と思う方です。

この記事では、これまで受けた相談内容をもとに運送業許可申請をする前に、特に注意しておいていただきたいことをまとめました。

 

 

人に関すること

一人で運送業許可は取れるのか?

結論から言うと、一人で運送業許可は取れません。それでも多くの人、特に現状他の運送会社でドライバーをやっている方から、「一人で運送業許可を取りたいんだけど」とご相談を頂きます。

運送業許可を取るには、最低でも6人の人員を確保する必用があります。内訳は以下の通りです。

  • 運行管理者1人
  • ドライバー5人

※運行管理者はドライバーを兼任できません。整備管理者も必用ですがドライバーや運行管理者を兼任できるため、運送業許可を取るには最低でも6人必用となります。

 

運送業許可取得後に社会保険・労働保険の加入が必要です

運送業許可取得後は、個人事業主であっても、法人であっても社会保険と労働保険の加入が必用となります。

※社会保険=健康保険と厚生年金のこと。労働保険=雇用保険と労災保険のこと。

社会保険と労働保険に加入すれば「保険料」を納めなければなりません。保険料は売上に関係なく必用となる「経費」です。例えば給料の額を30万円とした場合、愛知県では約4万円ほどの保険料が必用となります。

このうち、約半分は事業主が支払うので、2万円×5人分=10万円は毎月の経費が発生することになります。保険料という経費が発生することを加味して事業の計画を立てなるようにしましょう。

 

運行管理者試験の受験は計画的に

運行管理者試験は年に2回。3月と8月にしか行われません。シフトアップに運送業許可を取りたいとご相談いただく方の中には、運行管理者試験をこれから受けるという方もいらっしゃいます。

例えば、年末までに運送業許可を取って運送業を開始したいという方から7月に相談が来たとします。運行管理者の試験はこれから受験するつもりと考えていたらどうでしょう。

すでに、5月で8月の運行管理者試験の申込受付は終わっているため、来年の3月に受験して合格しなければ運行管理者を確保できません。

ということは年内の運送業許可取得はできないことになります。

 

重要なので繰り返しますが、運行管理者試験は3月と8月の年2回しか行われません。予定通り運送業許可が取れるようにするため、計画的に受験してください。

 

 

整備管理者も必ず必用になります

運送業許可を取るためには、必ず整備管理者を確保しなければいけません。もし整備管理者となる人が自動車整備士などの資格を持っていなければ、2年以上の実務経験を利用して整備管理者となることになります。

実務経験とは、

  • 運送会社などで整備管理者をやっていた期間
  • ドライバーとして日常点検や整備管理等をやっていた期間

などのことです。

実務経験を利用して整備管理者となる人は、勤務していた運送会社などに実務経験を積んだことの証明として、書類に会社の実印をもらう必用があります。

 

ですので、実務経験を積んだ運送会社が倒産していたりすると証明の印鑑がもらえないため整備管理者となることはできません。

資格を持っている人以外を整備管理者とするときは、実務経験を積んだ運送会社が存続していることが条件となるので注意しましょう。

※地域により、実務経験を証明する運送会社などが存続していなくても整備管理者となれる場合もあります。

 

 

運送業に使用する事務所と駐車場に関すること

許可取得を急ぐなら理想を低く持つべし

なぜ、理想を低く持った方が良いかというと、思い通りで使い勝手の良い事務所や駐車場はなかなか見つからないからです(都市部へ行くほど、この傾向は強くなります)。

駐車場の中に事務所が併設されていた方が使い勝手が良いのは間違いありません。しかし、ただでさえ少ない運送業に使用できる駐車場。事務所が併設できる物件はごくわすかです。

 

加えて、国道や県道沿いの広い接道を持つ駐車場であるとか、賃料の安い駐車場で事務所も併設できる物件となると競馬で万馬券を当てるようなものです。

急いで運送業許可申請する必用はないという方以外は、なるべく理想を低くもって、最低限この条件は外せないというものを決めておいた方が早く許可申請できます。

 

 

良い土地が見つかってもすぐに契約しないで!

シフトアップへ運送業許可申請のご依頼をいただくお客様の1割ほどが、すでに運送業に使用する事務所や駐車場の賃貸契約をしていたり、土地を購入しています。

この場合で怖いのは、契約または購入した土地が運送業許可申請をするための条件に合致していなかった場合です。

そうなったら別の場所を探すしか方法はありません。賃貸なら敷金や保証金は返ってこない可能性もあります。購入していたら目も当てられません。

余分な経費がかかることのないよう、運送業に使用する事務所や駐車場を契約する前に必ず運送業専門の行政書士法人に調査を依頼してください。

 

 

不動産仲介業者の言うことを鵜吞みにしない

「不動産仲介業者は、土地のことなら何でもわかっている」

一般的にそう思いがちです。ですから運送業に使用する場所ですと説明して物件を紹介してもらっても、大方は運送業許可取得の条件に合致しない物件を紹介されます。

弊社シフトアップのお客様も例外ではありません。運送業許可申請のご依頼をいただいたあと、不動産仲介業者に紹介してもらったという物件を調査すると、許可取得の条件に合致していない場所であることが本当によくあります。

不動産仲介業者で運送業許可について知っている方は数%しかいません。9割以上の業者は知らないと思ってください。

 

 

事業開始資金に関すること

運送業許可申請にはまとまったお金が必用です

「運送業許可申請したいのだけど、今は自己資金が全然ありません。どうしたら良いですか?」

これもよくあるご相談です。自己資金がまったくない状態では運送業許可は取れないし、例え取れたとしても会社を運営していくことができません。

 

ですから、自己資金は最低でも1,500万円~2,500万円ほど貯めてから運送業許可申請を行いましょう。

1,500~2,500万円の自己資金を持っていれば、もしそれ以上に開業資金が必用になったとしても、経験上ほとんどのお客様はなんとか捻出されています。

 

 

運送業許可を取った後しか融資は受けられないのが現実です

「今は自分で貯めた自己資金はないけど、銀行で融資を受けて運送業許可を取るつもりです。」

これもよくあるご相談です。すでに個人事業や会社をやっていて銀行との付き合いがあるという方以外は、運送業許可取得前に融資を受けることはできないと思ってください。

創業時の融資が受けやすいという日本政策金融公庫でも、それは同じです。ビジネスを始めるために計画的にお金を貯められる人しか金融機関はお金を貸してくれないということです。

 

 

出資してあげるという言葉には注意する

過去にシフトアップへ運送業許可申請のご依頼者を頂いたお客様で「許可申請に必用な資金を出資してくれる人がいる」と言った方で、実際に許可申請された方は1割もいません。

話を詰める段階で出資すると言っていた人が尻込みするか、揉めて話はなくなります。

もし、あなたに出資しても良いという方がいれば、確実に出資してもらえることを証明するため、少額でも良いので許可申請前に自信の口座へ振り込んでもらうようにして下さい。

 

 

周りの運送事業者さんに関すること

周りの運送事業者さんの言うことに耳を傾けすぎない

  • 市街化調整区域の駐車場でもプレハブで事務所登録ができる。
  • 駐車場には必ず建屋がないと申請できない。
  • 運行管理者も含めて5人いれば運送業許可が取れる。
  • 仮眠室は必ず設けないといけない。
  • 営業所を新設するときの事務所は市街化調整区域にあっても良い。
  • 「駐車場の出入口はどこにあっても良い。

これらは弊社シフトアップのお客様が、付き合いのある運送会社から聞いたという言葉の一部です。

 

正直に申し上げて、すべて間違いです。

 

かつて、運送業界に身を置いていた私も運送業界は先輩後輩の関係や、横のつながりが強いのは承知しています。

ただし、運送業許可の取り方に関しては、あまり正確な情報をお持ちの方は少ないので、周りの運送事業者が運送業許可申請に関して言うことは、あまり聞かない方が良いようです。

 

 

まとめ

運送業許可申請をするうえで特に注意すべきことをまとめてみました。運送業許可を取ると決めたらインターネットや周りの人から色んな情報が入ってくると思います。

すべてが間違いだとは言いませんが、正しい知識を教えてくれる人を探さないと情報の波にのまれることになります。

 

運送業許可申請に関する疑問は運送業専門の行政書士法人シフトアップへご相談いただくことがベストな選択です。大切なお客様のご相談には正しい情報をご提供させていただきます。


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