【2020年最新】運送業の事業開始に必用な資金についての誤解をスッキリ解消します

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【2020年最新】運送業の事業開始に必用な資金についての誤解をスッキリ解消します

kglo-kawai

運送会社に12年勤務した行政書士。運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★著書「行政書士のための運送業許可申請のはじめ方」

弊社シフトアップでは、運送業許可を取るときに必要な事業資金についてのご相談をよく受けます。

  • 何を事業資金の中に含めれば良いのか?
  • 会社の資本金が事業資金になるのか?
  • 事業資金があることはどうやって証明するのか?
  • 会社の資本金と事業資金は別枠で確保するのか?
  • 事業資金は融資を受ける予定でいる

など。

許可取得にあたってとても重要な事なのですが、理解しにくい部分が多いため、運送業許可取得をご検討中の方のためにわかりやすくご説明いたします。

融資に関してのお話しは特に重用なのでお見逃しなく。

 

 

事業開始に必用な資金には何を含めれば良いのか理解しよう

運送業許可を取るためには「運送業を始めるにあたって当面の運転資金を持っていること」を証明しなければなりません(資金の要件と言います)。

では、当面の運転資金にはどんなものが含まれるのかというと以下のとおりです。

 

従業員全員の2ヶ月分の給与(賞与もある場合は、1年分の賞与も含む)
役員報酬の6ヶ月分
従業員と役員の6か月分の社会保険料と厚生年金保険料
従業員の6か月分の雇用保険料と労災保険料
事務所が賃貸の場合は賃料の12ヶ月分
事務所が自己所有でローンが残っている場合は、ローン月額の1年分
駐車場が賃貸の場合は、賃料の1年分
事務所が自己所有でローンが残っている場合は、ローン月額の1年分
トラックにリースが残っている場合の1年分のリース月額
トラックにローンが残っている場合は、頭金と1年分のローン月額
自動車取得税の1年分
自動車重量税の1年分
自動車税の1年分
自賠責保険料の1年分
自動車任意保険料の1年分
運送業を始めるにあたって購入する什器備品類の購入費全額  など。

※2019年11月の法改正により、運送業許可取得に必要な資金はそれまでのおよそ2倍必要になりました。

これらを正確に算出し、すべてを合算した額が当面の事業開始に必用な資金となります。

そして、運送業許可を取るには事業開始に必用な資金額以上の自己資金を持っていることを証明しなければいけません。

 

 

事業開始に必用な資金額を確保できていることはどうやって証明するの?

上記で計算した事業開始に必用な資金は、個人事業主であれば事業主名義、法人であれば法人名義の銀行や郵便局の口座にいくらの預金があるかを、銀行や郵便局が発行する「残高証明書」で証明します。

残高証明書について3つの注意点があるので以下でご説明します。

注意点①|当日分は反映されない

多くの金融機関では、当日の入金は残高証明書に反映されないため注意が必用です。

例えば、

4月1日付けの預金額の残高証明書を取りたい場合は、翌日の4月2日以降に銀行や郵便局に行かないと取れないません(金融機関によって反映されるまでの日数が異なります)。

 

なお、銀行や郵便局の通帳の写しは証明になりませんのでご注意ください。

 

 

注意点②|2回提出する必用がある

残高証明書は、運送業許可申請の受付時と、申請受付からおよそ2ヶ月後の2回提出します。なぜ2回かというと、申請受付時から許可取得までの間に、事業を開始に必用な資金が減っていないかを確認するためです。

運輸局としては、許可を出したはいいが事業が開始できないという事業者を出すわけにはいきません。そのため、残高証明書の提出は2回と義務付けられているのです。

 

 

注意点③|2つ以上の口座残高でも良い

金融機関で残高証明書を取るときは、2つ以上の口座の残高を合算して事業開始に必用な金額があることを証明しても構いません。

例えば、

事業開始に必用な資金額合計900万円の場合
A銀行で取った残高証明書の額:600万円
B銀行で取った残高証明書の額:300万円
合計:900万円 → 事業開始に必用な資金を持っている!

とみなされます。

 

 

運送会社ができる前に運送業許可申請の受付をする場合の残高証明書の誤解

運送業許可取得にともなって運送会社を設立する場合でも、会社設立の完了前に申請の受付をすることは可能です。

しかし、会社設立の登記が完了していないため、運送業許可申請の受付時には、当然法人口座がまだ開設できていない事になります。

こういったケースでは、会社設立時に資本金を出す人=発起人の口座の残高証明を取得して資金の要件を満たしていることを証明します。

この場合は、発起人全員の同日付けの残高証明書の金額を合算した額が事業開始に必用な資金の合計額以上であれば問題ありません。

 

例えば、

運送会社設立の発起人がAさん、Bさん、Cさんの3人の場合で、運送事業開始に要する資金の額が900万円の場合

  • Aさんの個人通帳で4月1日付けの300万円の残高証明書
  • Bさんの個人通帳で4月1日付けの400万円の残高証明書
  • Cさんの個人通帳で4月1日付けの200万円の残高証明書
    → 4月1日付けで合計900万円の残高証明書が提出できれば良い。

 

特筆すべきは、それぞれの発起人の出資金額と、残高証明の額は必ずしも一致しなくても良いということです。

一般的に考えると、法人設立時の出資金額と運輸支局に提出する残高証明の額は、出資者ごとに同じでなければいけないように思います。

しかし、運輸支局はあくまで運送業開始に要する資金の有無を確認するために残高証明書の提出を要求します。

したがって、運送会社設立時の発起人の出資金額と、発起人ごとの残高証明の額は一致している必要はないということです。

 

 

運送会社の資本金額と残高証明の額は一致しなくて良い

資本金額と運送業許可申請時に提出する残高証明の額は一致していなくても構いません。

例えば、

資本金100万円で運送会社を設立。運送業開始に要する資金の額が900万円の場合でも、900万円以上の残高証明書が提出できれば問題ありません。

会社設立時に、事業開始に要する資金を集めるのが困難だという場合でも、運送業許可申請までに用意する事ができれば構わないということです。

 

もう一つ例をあげると、

会社を設立した4月1日に100万円しかなくても、900万円確保できる5月1日以降に残高証明書を取って、運送業許可申請ができる。

ということです。

 

 

資本金と事業開始に必用な資金は別枠で考える必要があるのか?

会社設立時は、代表取締となる人の個人口座へ資本金を振り込みます。ここで浮かんでくる疑問は、資本金を事業開始に必用な資金に充て込むことは可能かということです。

 

結論から言うと、資本金を事業開始に必用な資金に充て込むことは可能です。

資本金は会社として事業を営むために当面必用な資金である運転資金に充てるためのお金です。そのため、資本金を事業開始に必用な資金に充て込むことはまったく問題ありません。

 

 

融資を受けて事業開始に必用な資金を確保しようと考えている方へ

弊社シフトアップへご相談を頂いた方に自己資金は幾らぐらいありますかと質問をすると「融資を受けて必用な資金を確保します」とお答えになる方が4割はいらっしゃいます。

 

自分もそう考えていたという方。注意してください。

事業資金を貸してくれる金融機関は銀行や日本政策金融公庫などがあります。共通して言えることは運送業許可を取得してからでないと融資してくれないということです。

なぜなら、金融機関はどこも「貸したお金は返して欲しい」と考えているからです。

運送業を始めたら返せるから、しっかりした事業計画書を提出すれば貸してくれるでしょ。と考えるのはわかります。

 

しかし、金融機関の考え方はこうです。

運送業を始める前、つまり運送業許可申請をする前は許可を持っていない。ということはお金を貸しても返ってくる保証がまったくない。なぜなら、許可が取れるかどうかわからないから。

 

嘘のような話ですが、これが真実です。この記事を読んでいる方が、事業を始めるために必要なお金だから貸してくれて当然だと思う気持ちはわかります。しかし、許可がなければ始められない事業に関しては許可を取ってからでないと金融機関はお金を貸してくれないのです。

弊社シフトアップからすると、申請受付ができれば必ず許可が出るから貸しても返ってくる。そう思うのですが、残念ながら通じません。

ただし、許可取得前に前例がないわけではありません。弊社のご依頼者様の中には、地域の信用組合から許可取得前に融資を受けられたという方もわずかにいらっしゃいます。

ですから、融資を受けて事業開始に必用な資金を借りようと思っている方は、まず許可取得前に融資を受けられるか銀行や日本政策金融公庫へ相談に行ってください。

もちろん事業計画書の作成はシフトアップがお手伝いします。

 

 

まとめ

事業開始に必用な資金についてご理解頂けしたでしょうか。特に融資に関しては、許可取得前にお金を借りることができたというお客様は本当にレアケースです。できれば、融資を受けずに自己資金を確保することをおすすめします。

 

一筋縄ではいかない運送業許可申請ですが、シフトアップがお客様にとっての最善策をご提案いたします。運送事業開始に必要な資金のご相談は、運送業許可専門「名駅の行政書士法人シフトアップ」へお気軽にご相談ください。


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